6-06 乗艇中の体調悪化
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第6章,第6項。
タイトルは、乗艇中の体調悪化です。 時間は約四分です。
1。熱中症。
炎天下の乗艇では、熱中症の危険があります。 特にレースでは、体調悪化を言えない雰囲気や、緊張感の高まりで、発症の危険が高くなります。 それでもなんの前兆もなく突然に発生するのではなく、少しずつ悪化し、我慢しているうちにひどい段階まで行き着く、という例が多くあります。 水上に出ていると、熱中症になっても即座に救助できないというリスクもあります。
クルーが普段からよく話をし、互いに気遣っていることが大切です。 体調不良があれば、無理せず速やかに陸にもどり、対処しましょう。 発艇場から遠く離れているとか、症状が重い場合は、すぐに近くの岸につけて陸上の支援を仰ぎましょう。
2。ケイレン。
ケイレンには、カルシウムなどのミネラルの不足、筋肉の疲労、冷えやサポーター、血行障害、過度の緊張、けいれん癖、過呼吸など様々な要因がからみます。
予防は、食事、オーバーペースの抑制、練習中の水分・ミネラルの補給、衣類、メンタルリハーサルなどで、多面的なコンディショニングが大切です。
けいれんした場合は、すぐに運動を中止し、緩やかにストレッチなどの処置をとります。 乗艇チュウは、前の漕手にストレッチしてもらうか、自分でストレッチできる姿勢をとります。
3。過呼吸。
過呼吸は、激しい運動や緊張で呼吸が過剰となり、血液中の炭酸ガス濃度のバランスが崩れることでおこります。呼吸がつらくなり、手足や唇のしびれ、顔面や足のひきつり、めまい、意識のうすらぎ、失神などを起こします。特に神経質な選手、若い女子選手、自律神経失調、内分泌調節異常の選手で多い傾向にあります。
過呼吸自体は直接の生命の危険はありません。しかし、失神して倒れたり、ラクスイして溺れたりする危険もあり、軽視してはいけません。
予防としては、緊張や不安を取り除くメンタルコントロールや、高い心肺負荷の練習直後に完全停止しないことも大切です。
発生時は、「落ち着いて大きく、ゆっくり」呼吸するように心がけます。従来いわれてきたペーパーバッグ法は、現在は正しい処置とは限らないとみなされています。
また、心不全など他の病気の発症を、過呼吸と誤認するおそれもあります。
4。突然死。
スポーツにおける突然死は、ロウイングでも事例があります。特に最近の国内の漕艇死亡事故は、遭難ではなく、心臓循環系の急病によるものです。
持病、減量、体調不良に注意しなければなりません。
予防として、適切なメディカルチェック、運動直後の動作の急な停止を避け、クールダウンをきちんとすることなどが大切です。
特に、気分が悪いとか、不快な疲労感など、少しの体調悪化を軽視しないことです。
以上で,「乗艇中の体調悪化」の説明を終わります。