6-03 シュッテイ判断と気象予測

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第6章、第3項、タイトルは「シュッテイ判断と気象予測」です。時間は約四分です。
シュッテイとは、艇を出す、ジョウテイすることです。

1。安全、特に気象判断についての基本。
少しでも不安があればジョウテイしない、といわれることがよくあります。 しかし、それでは安全機能は育たず「潜在的な危険」を増やすだけです。 「絶対の安全」はありません。 今日の乗艇は、全く不安材料はない「安全だ」という場合は、何か見落としがあるといえます。
シュッテイの判断を人任せにしてはいけません。 指導者だけでなくクルー自身が、ジョウテイの準備状態や気象条件を点検しましょう。 「気象予報や自分たちの判断・予測は、外れることがある」と考えて、行動しましょう。 楽観視は避けるべきです。

2。シュッテイの決断。
シュッテイの「決断」は、明確でなければなりません。
今日のこのジョウテイが、気象や環境については「ほぼ」危険のない状態なのか。 それとも、明確なリスクがあるのか。 それとも、待機して状況の回復を待つべきなのか。 それとも、ジョウテイを中止すべきなのか。
その四つのどれかを明確にしよう、ということです。 特に明確なリスクをきちんと認識して、用心してシュッテイしようということです。

3、気象の予測。
最近は気象情報の精度も上がり、スマートホン、TV、ラジオ、電話などで、気象情報を容易に入手できます。 電話の117で天気予報を聴いている人、もうほとんどいないかもしれませんが、基本的な方法のひとつです。 いずれにしても、ジョウテイする日は、天気予報で気象リスクを正確に把握しておきましょう。
また「実際に空を見て、大気からのメッセージ、数時間後の局地的な気象変化を聴くことも大切です。 これを、カンテンボウキと言います。観察するの観る、天気の天、ボウは展望台のボウ、気は気象のキです。 観天望気とは視覚情報だけではありません。
全盲や弱視であっても、観天望気はできます。 自分を取り巻く空気の感触が、とても重要です。 風、気温、湿度、日差しの感触などを、自分のもつ感覚機能を最大限に活用して、感じ、思うことが大切です。
「現在の穏やかなコンディションが、このあと、どれだけ続くのか?」 様々な自然からの情報を読み、予測と評価を繰り返し、予測水準を向上させましょう。

波と突風について。
ボートでは、波と風、突風が大きなリスクとなります。 低気圧や前線の接近、潮汐と風向の関係など、基礎的な知識を身につけておきましょう。 乗艇中、常にその変化に神経を研ぎ澄ませましょう。
そして、天候が急に悪化しても、岸まで帰り着く時間の計算ができるようにしておくことが大切です。 長く広い水域では、避難するための最寄りの着岸場所を、たくさん確保しておくべきです。

カミナリについて。
ボートでは、南アフリカで高校生エイトに、中国でシングルスカルに、二件の死亡事故があります。 落雷については、間違った言い伝えも多くあります。 正しい最新の知識を学んでおきましょう。
平坦な水面の上では、ボートは雷の恰好の標的で、有効な防護手段がありません。 雷が鳴ったら、いかなる場合も乗艇すべきではありません。 雷鳴が止んでから、約三十分は様子を見ましょう。
乗艇中に雷がなり始めたら、早めに岸や橋梁の下に待避することが大切です。 大きな木や建物、電柱、橋脚などからは4m以上離れるべきです。 近くに落雷し、かなり危険を感じた場合は、あまり動かず、体を伏せて静かに待ちましょう。

以上で、「シュッテイ判断と気象予測」の説明を終わります。