ロウイングの危険
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第6章、ロウイングの安全。
この第6章では、ロウイングの安全について説明します。
第6章第1項、タイトルは、「ボートは危険か?」です。 時間は約四分です。 二千十八年八月十二日に作成しました。
1、視覚障害とロウイングの安全。
ロウイングでは、視覚障害が安全面でのハンディになります。 サポートなしに一人では漕げません。 しかしプラスにもなり得ます。
あのヘレンケラーもボートを楽しんでいました。 著書「わが生涯」には、若い頃,夏にはロウイングを楽しんでいたことが記されています。 ほとんどボートの上で暮らしていた,といって良いほどだったようです。 もちろん一人ではなく、大体は誰かが舵をとってくれたのです。 しかし時には、舵手に休んでもらって、水草やスイレン,岸辺に生える草のかおりをたよりに、ボートを操って楽しんでいたようです。
クルーロウイングでは、安全はコックスが確保するので、漕ぐことに専念できます。 しかし、視覚障害者がクルーの安全に対し、役に立たないと思うのは間違いです。 視覚障害者が、聴覚を活かしていち早く危険に気づく、ということも大いにあり得ます。 一人一人が持っている機能を、できる形で良いから、クルーの安全機能に組み込む意識が大切です。
誰もが完全ではありません。 「足りないことはお互いに気軽に補い合おう」、「機能の多様性はむしろ安全強化につながる」という発想が大切です。
2、ひとりひとりの安全力とスポーツ。
身の回りには事故や犯罪など危険なことが多くあります。 バリアフリーといわれても、まだまだ危険がいっぱいでしょう。 でも、いざというとき、精一杯、自分や、また家族や周囲の人たちを守り、また助ける力を発揮できる存在でありたいものです。 そのような能力は、どのようにして身につくのでしょうか。
また、どんなスポーツでも、安全に気を配られるべき障害者スポーツでも、何かの危険やリスクがあります。 特に、自然の中で行うロウイングは、自然に触れ合うすばらしさとともに、自然に直接向き合っている独特の危険があります。 不注意や不真面目さが、直接、命にかかわり得る種類の危険です。
しかし、だからこそ、それにまじめに取り組むことで、確かな安全の能力を身につけることができます。 水の上を漕ぎ進むロウイングは、同時に安全能力を養うすばらしい体験となります。
3、自己責任。
指導者やクラブには、安全を確保する責任があります。 しかし同時に、スポーツには「自己責任」という大原則もあります。 「自らの意思でスポーツにのぞみ、また危険に対するリスクは自らが負い、他者に責任を転嫁しない」ということです。
もちろん初心者では、すぐに自己責任を全うできません。 しかし、長くスポーツを続ける過程で「自己責任が取れるスポーツ愛好者」になっていかなければなりません。
以上で,「危険とスポーツ」についての説明を終わります。