9-02 艇庫と発艇場でのサポート

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第9章 第2項。タイトルは、艇庫とハッテイジョウでのサポート、です。時間は約四分です。
一。みんながサポーター、そして同じボートをする仲間。
電車でお年寄りに席を譲ろうと声をかけたら、「すぐ降りるから」、「まだそんなに弱っちゃおらん」などと断られた時の気まずさといったらありませんね。それでもまた、次の日に声をかける人が大好きです。
お年寄りにでさえそうなのに、普段あまり出会う機会がないかもしれない眼の不自由な人に対してはどうでしょうか。 「手助けしたくても接し方がわからない」,「間違った言葉を使ったらいけないし」と、戸惑い、遠巻きにし、声をかけないでいるのではないですか。
幸い、ロウイングスポーツの世界では今、みんなで楽しむスポーツを、切り拓こうとしています。 その中で、視覚に障害を持つ仲間も少しずつ増えています。 同じボート仲間として、気軽に、気おくれせず、断られても気にせず、失敗をおそれず、声をかけ、ぜひ支援の仲間にもなってほしいと思います。

二。まず声をかけよう。そこから始まる。
全く見えない人。周囲に気をつけながら自分で歩ける人。視覚障害の程度は様々です。あなたの申しでは、その人にとっては不要かもしれません。 でも、話しかけなければ何も判らず、先にも進めません。おせっかいを覚悟で、断られることを覚悟で、声をかけましょう。
初対面や、まだ日が浅いうちは、まず自分が誰か,名乗りましょう。こんにちは。ワイ高校の2年のティーです、というように。
歩道やハッテイジョウですれ違うときも、気軽に声をかけましょう。眼を閉じて想像してみてください。 誰かの足音が近づき、そして無言で通り過ぎるだけって、どんな感じですか。
ただ声をかけるだけでも、とても素敵なコミュニケーションの始まりです。 申し出を断られても気にしないこと。また,次のときに、声をかけましょう。

三。具体的な注意点と配慮。
ガイドの基本は、白い杖を右手で持っている人には、その人の左側に立って、その人の空いている左手で、あなたの右肩か右肘あたりを持ってもらいます。 肩のほうが、進行方向が判りやすいようですが、身長差によっては肘のほうが自然な姿勢になります。 杖や手を引っ張ってはいけません。体を押してもいけません。
艇の運搬では、視覚障害者を、前列ではなく、中間に配置するのが良いでしょう。
ガイドは、危険を知らせるだけにして、行動自体は視覚障害者が自分でコントロールするのがベストです。
周りの状況を伝えましょう。「信号が赤です」、「青です」「段差があります」など。小さな段差にも気を配りましょう。 階段では、端によって、手すりに掴まって歩くのが良いでしょう。ただし手すりのないスロープでは、端によって転落することがないように、充分注意しましょう。
また、艇庫や周辺を整理整頓し、不用意なものを放置しないよう、改善していきましょう。置き場所を決めておくことも大切です。

以上で、艇庫内およびハッテイジョウでのサポートの説明を終わります。