9-01 視覚障害とスポーツ

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第9章、第1項。タイトルは「視覚障害とスポーツ」です。 時間は約四分です。

ここでは、視覚障害者のロウイングを指導支援するコーチやスタッフが、知っておくべき、基礎的な知識や注意事項を解説します。

一。視覚障害に対する心構え、配慮と情報共有。
視覚障害は、全盲から、視野の制限まで、程度は様々です。障害の原因も、疾病、事故、出生時の損傷、カレイなど様々です。コーチや支援者は、プライバシーに配慮しなければなりません。個人の障害の原因を、詳しく知る必要はありません。しかし、障害の程度や、健康上で気をつけるべき配慮事項を、共有しておく必要があります。例えば、強い物理的衝撃に注意しなければならない、といったことです。

二。視覚障害の一般的な等級について、支援者が知っておくべきことを説明します。
福祉政策の中では、視覚障害は1から6までの六等級に区分されています。
一級は、リョウガンの視力の和が0点01以下の場合です。
二級は、リョウガンの視力の和が0点02から0点04の場合か、またはリョウガンの視野が各十度以内でかつリョウガンによる視野について、シノウリツによる損失率が九十五%以上の場合です。シノウリツとは視覚のシと能率と書きます。
三級は、リョウガンの視力の和が0点05から0点08の場合か、またはリョウガンの視野が各十度以内でかつリョウガンによる視野についてシノウリツによる損失率が九十%以上の場合です。
四級は、リョウガンの視力の和が0点09から0点12の場合か、またはリョウガンの視野が各十度以内の場合です。
五級は、リョウガンの視力の和が0点13から0点2の場合か、またはリョウガンの視野の半分以上が欠ける場合です。
六級は、片方の視力が0点02以下、もう片方の視力が0点6以下で、リョウガンの視力の和が0点2を超える場合です。
なお、同一等級で、重複する、例えば視力の障害と視野の障害の両方がある場合は、一級重い等級になります。
指導者や支援者は、視覚障害の程度を、まずは、リョウガンの視力と視野という二つの要素を意識し、具体的な状況について、説明してもらっておきましょう。そして、実際の陸上トレーニングや乗艇練習で、その視力をどのように活用できるかを考えていけば、指導・支援がより適切に行えるようになります。
大会での乗艇練習中およびレースでは、アイマスクをしなければなりませんが、それはレースでのやむを得ない残念なルールです。パラロウイングの本質的な方向としては、いま持っている視力を有効活用して、ロウイング能力を高めるべきです。

三。視覚障害者のさまざまなスポーツ。
視覚障害者のスポーツは、アイビーエスエーという国際視覚障害者スポーツ協会、ジェイピーシーという日本パラリンピック委員会、財団法人日本障害者スポーツ協会などが支援しています。
パラリンピックでは、陸上、水泳、柔道、ヨット、サッカー、射撃、自転車、ゴールボール、スキー、パラロウイングなどがあります。
ほかに視覚障害者のスポーツとしては、グランドソフトボール、フロアバレーボール、サウンドテーブルテニス、ブラインドテニス、バスケットボール、フットボール、アーチェリー、パワーリフティング、レスリング、ボーリングなどもあります。

以上で、視覚障害とスポーツ の説明を終わります。