7-03 ローイングエルゴメータ

トップページに戻る 目次に戻る
第7章、第3項、 タイトルは、「ロウイングエルゴメータ」です。時間は約四分です。
最初に言っておきたいのですが、ジュニアや初心者では、ロウイングエルゴメータで専門的な強化を図るより前に、基礎的、全身的、総合的な体力の養成が必要です。エルゴに偏重することなく、むしろ多様なトレーニングを幅広く体験・蓄積することのほうが重要です。確かに、エルゴは全身の大きな筋肉を動員するので、ロウイングに限らず多くのスポーツの基礎トレーニングや、フィットネス、エクササイズの一貫として主要なマシントレーニングとして有用なものです。しかし、全身の筋肉の中で、ロウイングで主に用いられるのは、脚は伸展方向、胴体は後に振る方向、腕は屈曲の方向であり、その逆の方向はわずかな負荷に過ぎません。特に成長過程にある場合、また競技者として初期の段階では、ローイングエルゴメータだけで、メニューを済ませるのはよくありません。必ず、多様な動作を取り入れ、筋肉をバランスよく整えていくことを、しっかり考えてください。 以上のことをよく理解していただいた上で、この解説をお聴きください。

一、ローイングエルゴメータ。
ロウイングの練習装置として、ロウイングエルゴメータ、ロウイングマシンがあります。その世界標準が、米国のコンセプトツー社の「インドアロウワー」です。いくつかのモデルがありますが、最も標準的なのは、モデル・ディーです。エルゴメータは、ロウイングで主に使う筋肉を効率的に強化できます。また、レイト、タイム、漕いだ距離、ペース、ペースの変動、脈拍などを表示できるモニターがあり、ソウリョクのエネルギー的側面を定量的に把握できます。

視覚障害があってモニターが利用できない場合は、誰かに読んでもらう必要があります。コンセプトツーのウェブサイトでは、サードパーティで読み上げてくれるアプリなども紹介されていますが、古いバージョンでアップデイトが進んでいなかったり、まだまだ開発途上という印象です。

エルゴメータと実際のボートでは違いもあります。揺れない陸上で、全力で安心して漕げることや、固定されているために、漕手の上体の前後運動の負荷がすべて漕手にかかることなどです。そのため、実際のボートよりも、体にかかる負荷が知らないうちに大きすぎる場合もあります。ダンパのレバーで負荷を調整できますが、この負荷を高く設定しすぎないことをお奨めします。 また、負荷を軽減するためには、マシンの下に敷く「スライド」もあります。

二、エルゴメータの取扱・整備。
ハンドルフックは、練習の間に一時的にかけておくためのフックです。練習終了後はハンドルを、フックではなく、ガイドのところまで戻しておきます。ショックコードの寿命を延ばせます。練習後は、レールを清掃しましょう。黒い汚れをふき取ります。シートのスライドの状態、チェーンの状態を点検し、その他、気になるところがあれば、担当者、指導者に相談しましょう。時々は油をさしたり、きちんと整備しなければなりません。

三、レバーの数値とドラグファクタ。
エルゴの負荷はレバーで調整できるとお話ししましたが、レバーの数値と負荷の関係は、マシンの整備状態で変動するので、負荷を正確に知るには、レバーの位置では不正確です。そこで、「ドラグファクタ」という数値をモニターに表示できます。レバーの位置での正確な負荷を表示します。ドラグファクタを確認し、自分に最適な負荷をドラグファクタのアタイで把握しておきましょう。

四。表示単位、ワットとカロリー表示。
モニターは、ワットでも表示できます。ペースが、五百メートルの区間タイムで表示されますが、それと仕事率、ワットの関係は単純です。 仕事率、つまりワットは、秒速、つまりメートルまい秒、の三乗に、二点ハチをかけたアタイです。 カロリー表示はちょっと違います。艇への仕事だけでなく、漕手自身の体重の前後運動に費やされた運動量を、概算値として三百キロカロリーまいジを加算して、消費熱量を示しているのです。ダイエットのための運動量の把握にはこれが近いというわけです。

以上で、ローイングエルゴメータの説明を終わります。