6-04 沈からの回復

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第6章、第4項。タイトルは、「チンからの回復」です。 時間は約四分です。
チンとは、沈むという字を書いてチンという、ボートの用語です。

1。パラロウイングでもチンの練習は必要。
パラロウイングのシングルスカルでは、リガーにフロートをつけ、ほとんど転覆しない構造になっています。 ただし転覆した例はあり、そして回復させるのは難しいです。 つまり、「回復させる」練習は必要ありませんが、転覆したあとパラシートから脱出し、ボートに捕まる練習はしておくべきです。 ダブルスカルも同様に、脚を開放して脱出する練習は、しておくべきです。
視覚障害の場合は、フォアでの転覆やラクスイから、ボートを確認してもどる訓練も役に立つでしょう。 ラクスイとは、ボートから転落して水に落ちることです。

2。シングルスカルのチンの回復手順。
視覚障害での通常のシングルスカルの再乗艇の手順を説明します。 実際には、二三度やって回復できない場合は、おとなしくつかまって救助を待ちましょう。 何度も繰り返すと体力を消耗し、危険です。
回復の手順は、まず落ち着いてボートにつかまります。 転覆した時にボートから離れても、落ち着いて音を聴き、ボートを見つけましょう。
次に、ボートをオモテにします。 転覆している場合に、自分の側のオールを、艇と平行にし、自分の側のリガーに足をかけ、ゆっくりその上に乗るようにすれば、ボートが表向きにもどります。
次に、二つのハンドルをつかみます。そのためには、まず自分の側のハンドルを確保します。
次に、そのハンドルをミドル位置でガンネルまで下げ、艇の下から手を回して逆サイドで持ちます。 そのハンドルを放さないようにしながら、潜って反対側にまわり、自分のサイドとなったもう一方のハンドルを合わせます。
次に、ブレードをうつ伏せにしてバランスをとります。 二つのハンドルを片手で持つようにしたまま、シートを目の前にもってきます。 そして艇が少し自分の側に傾いて安定した状態にします。
次に、立ち泳ぎの状態から、一気にバタ足で泳ぎ上がります。 お腹、つまり体の重心をシートに乗せるようにします。 ガンネルには体重を、できるだけ、かけないようにします。
次に、ゆっくりと姿勢を変えます。バランスを崩さないように注意しながら、ゆっくりと。 ハンドルを離したり左右の手が開いたりすると、ふたたびラクスイします。
バックステイつきのボートは、手前のオールだけを使って、泳ぎあがりながら体を回して回復する方法もあります。

3。小物の危険、ダブルスカル、バディ・システム。
バックステイのホースクランプやリガーボルトが、ラクスイの時に危険な存在になります。 鋭くとがった物がないようにしましょう。
ダブルスカルは、一人が抑え、一人が逆サイドから乗り込むことで、比較的、簡単に回復できます。
また、常に2艇以上のバディシステムで行動し、互いに転覆に備えれば、安全性が向上します。

以上で,「沈からの回復」の説明を終わります。