コックス

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項番号5の4。 タイトルは、コックスです。 時間は約4分です。 二千十八年七月二十二日に更新しました。
1, コックス
コックスには、整調と対面する形でボートのいちばん後ろに座るスターンコックスと、ボートの先頭に仰向けに寝て顔を出すバウコックスがあります。 コックスは、舵をとるだけではなく、漕手の心の応援のかなめとなる、重要なポジションです。 下手なコックスは、漕手の能力を引き出せず、コース侵害などで直接の敗因となることさえあります。 地味だけど責任の大きなポジションです。 しっかりとしたヤリガイと、責任感を持つことが大切です。 コックスの役割は、次のようなことです。
まず、ボートの整備,点検,リギングがあります。
次に、操舵。 舵を操作し、クルーに指示を与え、いきたいところえ、艇を動かします。
次に、安全の確保。 安全の全責任と全権限があります。
次に、漕手の体調や心の状態を見守ること。
次に、漕手のコギの状態を観察し、技術的な指導をすること。
次に、練習メニューを組み立て、調整すること。
次に、レースでの戦術展開。
次に、トレーニングメニューやコギの状態などを記録すること。
以上です。

2, コックスの道具は声とラダーだけ。
コックスが使える道具は、声とラダーの操作だけです。 陸上でボートを運んでいるときも、声だけを使って漕手の動きを制御して、安全に運ばなければなりません。 コックスが艇の端を持って、物理的にぶつけないようにするのは、声による制御能力を落とします。 コックスはあくまで声だけで指示し、危ないときは別の補助についてもらいましょう。
声はできるだけ大きく、はっきり出せるように訓練をしましょう。 声の補助装置として、特にバウコックス艇やエイトでは、コックスボックスというマイク・スピーカー装置がありますが、それでも故障や緊急時に備え、声の訓練は欠かせません。

3、体重の管理。
コックスは自分の体重をよく管理し、太りすぎないように注意します。 しかし減量することがボートのスピードにそれほど効果があるわけではありません。 むしろ減量しすぎて体調を崩し、判断力を鈍らせ,クルーにとっては逆効果となっているケースが多く見られます。 また、成長期にあるジュニア選手は、減量はしてはいけません。体重管理と減量は違うことです。

4, 視覚障害を持つ漕手への支援。
特に、視覚障害のある漕手にとっては、コックスは周囲の情報を言葉で伝える重要な役割を担っています。 コックスは、漕手の視力のレベルに応じて、適切な量と質の情報を発信します。
例えば、「ボートが今どこを進んでいるのか」とか、「目標まであとどれだけ漕げばよいのか、これは距離ではなく、ストローク数や時間でめどをたてて教えます。またクルーの他の漕手の状態なども教えたりします。 ただし、過度な配慮はかえってわずらわしくなることもあるでしょう。 視覚障害者の持つ聴覚やイマジネーションの能力に、期待と信頼を寄せましょう。 あまり、特別扱いする必要はないでしょう。 どんなことを知りたいか、どのあたりは不要か、そういったことを、漕ぎながら、ボートの上で互いに話しながら最適化していきましょう。
 さらに、聴覚障害もある場合などでも、支援者は敬遠せずとりくみましょう。
以上で,「舵手の役割と向上」の説明を終わります。