パラR/視覚障害/盲目のシングルスカリング

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項番号1の5。 タイトルは「盲目のシングルスカリング」。 時間は約5分,ファイルサイズは八メガバイト。 二千十四年一月十七日版。
この話は、ロウツーケーというウェブサイトに,二千四年に掲載されたものです。
視覚障害者のためのロウイングプログラムにおける、女性ふたりの漕艇体験の紹介です。ガイドの助けを借りながらも、一人でシングルを漕ぐすばらしさを,抜粋し,紹介します。 なお,全文訳は、太田川ボートクラブの会報,「ボートライフ」のナンバー百八十七,二千四年十一月号にあります.
それでは,「視覚障害のオアズウーマン、一人で漕ぐ」の紹介です。 タミー・スワイアンテクと,リネット・ルイスが書いた,アメリカのペンシルバニア州,ピッツバーグでの二千二年のレポートです。 まずは,タミーのお話です。 私はティーアールアールエーで、ボールドという視覚障害者野外レジャー開発の、ロウイングプログラムで十一年以上、スカルを漕いできました。 生まれつき目が見えなかったので、ボートを一人で漕ぐ感触,何か安定させるか舵をとるような道具なしでのボートの上での感じを味わうことは、たぶんないだろうという事実を、普通に受け入れていました。 私はそう納得していました。 六月十六日土曜日のその朝までは! その曇りぞらの朝、私は,オルデンというメーカーのシングルスカルにすわり、左手を桟橋にかけ、右手でオールを、まるで、それが命綱であるかのように、ぎゅっと握っていました。 ボートを押し出し、左手のオールの下にあるものが、桟橋の木から,水に代わったのを感じたとき、私の心臓の鼓動は、どんなストロークより速く高鳴りました。 しばらく、私は桟橋につながれた状態でボートに座り、バランスと、オールのコントロールを試しました。 どんな生き物でもモーターボートでも、水の上ならゆらゆらするものなのに、水に浮かんだオルデンは、バスタブに似て、ほとんどぐらついたり弾んだりできそうにありませんでした。 しかし、それでも,ひっくり返るかも、と恐れながら、オールを上げそっとフォワードしながら最初のストロークを漕ぎました. ボートは、私が漕いだ最もスマートな競漕用ダブルスカルと比較しても、水面にかろうじてバランスをとっている剃刀の刃のように感じられました。 ついに、その瞬間はやってきました! ボートを前に押し出し、ロープは放されました。「私は自由だわ!」 親子連れのアヒルのように、パティと私は、水路のせまい出口の方へ楽にさかのぼっていきました。 最初のひと漕ぎでボートはひっくり返らず、興奮した微笑が私の顔に広がります。 後ろで聞こえるパティの声もそんなに遠くなく、私がダブルスカルで整調を漕いだときの、多くのパートナーの声に劣らず、私を支えてくれました。 右舷のすぐそばを、別のボートを通過させるために止まったときは、神経質な緊張に,空気が止まりました。 しかし何事も無くこの状況を切り抜けたと知ったとき、私は天にも昇る気持ちでした。 それからすぐに、私たちは一方のオールを少しだけ引きずりながら,狭いところを抜けていきました。 私が桟橋を離れるとき、もし私に絶対できないことがひとつあるとすれば、それは、桟橋にじゅうぶん近くまで引き返すことでした。 今、そのプレッシャーがのしかかってきました! しかし,私たちは、私が初心者としてダブルスカルで数回漕いだときよりも,もっとすばやく簡単に、着岸しました。 こうして、決して忘れることの無い、そしていつの日かまたやってみたい冒険が終わりました。

つぎに,短いですが、リネットの書いたところからの抜粋です。 しかし、時々、自分のオールがスクウェアなのか、フェザーなのか、あるいは裏返しか、わからなくなってしまって困ることがあります。 バートは、水上では、声を出しすぎてはいけないこと、静かにしておかなければならないと,説きました。

以上で、「盲目のシングルスカリング」の紹介を終わります。