パラR/視覚障害/漕艇用語集 基礎200語レベル

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項番号1の1、ファイルのタイトルは「漕艇用語集、基礎200語レベル」です. 二千十四年一月十三日版.約二十二分、四十メガバイトです。 約200語程度の専門用語を説明します。 ボート初心者で視覚障害のかたを想定し、できるだけイメージできるように説明に努めました。
●まず、ボートの種類について説明します。
競漕用のボートには、一人乗りの「シングルスカル」から、8人で漕ぐ「エイト」まで、たくさんの種類があります。 漕ぎ手の人数は、一人、ふたり、四人、八人です。 ほかにコックスといって、舵を操り、号令をかける人がつく種類とつかない種類があります。 また、オールのタイプで、スカルとスイープとに分かれます。 スカルとは、一人の漕手が片手に一本ずつ、つまり2本のオールを持って漕ぐタイプです。 そしてそれを使うボートのことです。 スイープとは、一人の漕手が一本のオールを両手で持って漕ぐタイプのことです。 そしてそれを使うボートのことです。 また、船体の断面の形で、ナックルとシェルとに分かれます。 ナックルはふなぞこが平らで安定がよく、シェルは丸くて安定が悪いが抵抗が少ない形のボートです。 ナックルフォアは、四人で漕ぐナックル艇のことで、初心者向きで、市民レガッタなどでよく使われています。 現在の本格的なレースのボートは、すべてシェル艇です。 シェル艇の種類を説明していきましょう。 一人漕ぎはシングルスカルといいます。 ふたり漕ぎには3種類ありまして、スカル種目のダブルスカル、スイープ種目のなしペアとつきペアです。なし,つき,というのはコックスが乗る種目かどうかです。 四人漕ぎには4種類あります。 スカルかスイプか、コックスのあるなしで4種類になります。 舵手なしクオドルプルは4人漕ぎのスカル艇で、エイトの次に速い種目です。舵手つきクオドルプルもあります。 スイープ種目のフォアにもつきフォアとなしフォアがあります。
●次に、ボートの各部の名前を説明します。
ボートは「てい」ともいいます。 船体とそれにとりつけられた色々な艤装からなります。 船体のことは、ハルとも言います。 ハルの一番先端、「へさき」を、英語でバウと言います。 バウには必ず白いボールをとりつけ、これをバウボールと言います。 ハルの一番後ろ、「とも」を、英語でスターンと言います。 船底を縦に通る骨組みを、竜骨とかキールと言います。  艇の後ろのほうには,フィンと呼ばれる安定板がついていて直進性を高めます。 またスターンやフィンに,舵がついていて、これをラダーと呼びます。 ラダーは、シングルスカルとダブルスカルにはありません.。 ボートの前後は、甲板で覆われて空気室になっています。 この部分をキャンバスとかデッキと言います。 昔の艇は布ばりだったので、キャンバスという呼び名が残っています。 漕ぎ手が乗るところを、コックピットと言います。 座席はレールの上を前後にすべるようになっているので、スライディングシートと言います。  シューズは、ストレッチャーボードと呼ばれる、斜めの板に取り付けられています。 コックピットの横のふなべりは、舷側とかガンネルと言います。 ボートはとても細いので、オールを支えるオールロックは、ガンネルから外に張り出したアウトリガーの端に取り付けられています。 アウトリガーは単にリガーとも言います。 リガーの端にソールピンと呼ばれる回転軸が立ち上がっていて,それにオールロックが取り付けられています。 オールロックは、オアロック、ロウロック、クラッチ、スイーベルなどたくさんの呼び方があります。 オールロックの上の部分は、開け閉めできるようになっていて、ゲートとか、ゲートピンといいます。 オールロックをささえる台座の部分の構造はたくさんありますが,そのひとつに、えるばん、と呼ぶものがあります。 L字型をした台座です。 オールロックはソールピンまたは単にピンとも呼びますが、鉛直に立った回転軸にとりつけられています。 漕ぐときにこのソールピンには強い力がかかるので、それを支えるために、ソールピンの上端から、支えの棒がとりつけられていて,それをバックステイと呼びます。
●次に、オールのいろいろな部分の名前を説明します。
オールは、ブレード,シャフト,ハンドルで構成されます. ブレードは水につける部分,シャフトは棒の部分,ハンドルはその端の、手で持つ部分でグリップとも言います。 シャフトの途中に、オールロックに当てて「支点」となるスリーブとカラーがあります。 スリーブが「さや」のことで、カラーが刀のつばのようになっている部分です。 カラーからブレードの端までをアウトボード、カラーからハンドルの端までをインボードと言います。 アウトボードとインボードの比率を、てこ比とかギア比と言います。
●次に、リギングの用語について説明します。
リギングというのは、ボートやオールの各部を、漕ぎやすいように、調整することです。 聴きなれない色々な用語があるので、ここですぐに理解するのは難しいでしょう。 「そんな言葉があるのか」といった程度で聴きながしてください。  オールロックの高さ、座席からの高さのことを、ハイトとか,ワーク高,と言います。 漕ぎやすさやブレードの深さに影響します。 ソールピンやオールロックの傾きを、ピッチとかカバー角と言います。 スターン方向への傾きを,前への傾きという意味で「ゼンケイ」と言います。 また、ボートから離れる方向への傾きを、外への傾きという意味で「ガイケイ」と言います。  これらのピッチは、水中でのブレードのピッチの変化を変え、ブレードの上下の安定に影響します。 スカルの左右のオールロックの間隔のことを、スパンと言います。 また、スイープ艇の艇の中心からオールロックまでの水平距離を、リガースプレッドと言います。 スカルオールの左右のインボードの合計は、スパンよりも長く設定するので、スカルのグリップは、中間で重なりますが、これをオーバーラップとかクロスオーバーと言います。 オールロックの前後位置のことを、ワークスルーと言います。 普通はオールロックの前後位置が固定されていて、それに対するストレッチャーやレールの前後位置に置き換えて、計ります。 ブレードの動きを上から見れば、円弧を描くことになりますが、,その移動の軌跡をアークと言います。 その回転角度の大きさや、ハンドルの前後の動きの大きさをレンジと言います。
●次に、漕ぐ人について説明します。
漕ぐ人,漕ぎ手のことを,「ソウシュ」とか「ローヤー」と言います。 漕手全員のことを、「りょうげん」とか「オールメン」と言います。 ソウシュのほかに、船によっては、舵を操作し、ソウシュに指示をするコックスが乗ります。 ダシュとも言います。 つきペア,つきフォア,つきクオド,エイトに、コックスが乗ります。 ソウシュとコックスをあわせて、ひとつの艇に乗るチームを、クルーと言います。 またボート競技をする人、愛好者という意味で、オアズマンとかオアズパーソンという言い方もよくされます。 ちなみにソウシュを指してボートマンという言い方もされますが、英語での本来の意味は、艇の整備員のことです。 他に、スカルを漕ぐ人をスカラーと言います。 スイープを漕ぐ人は、スイーパーとは言わず、ロウヤーです。 つまり、ロウイングは狭い意味ではスイープロウイングのことなのです。 ふたり以上で漕ぐクルーボートのポジションの呼び方を説明します。 まずポジションには番号があります。最もバウ側を1番として順番にシートナンバーがあると考えてください。 つまりエイトでは8番まであるわけです。 この番号がそのまま、ポジションの呼び名になりますが、1番についてはバウと言います。 また最も大きな番号、つまり後ろ向きになって漕ぐボートでは最もスターン側で漕ぐポジションを、ストロークとか整調と言います。 整調とは、漕ぎのリズム、調子を整えるということです。 また、クルーボート全般で、ふたりの組をペアと言います。 例えば、フォアでは、バウと二番をあわせてバウペア、三番と整調を合わせてストロークペアと言います。  また、バウとストロークをあわせてアウトペア、二番と三番を合わせてミドルペアと言います。 また、バウと三番を合わせて、バウが漕ぐ側という意味でバウサイドと言います。 通常は、バウサイドが右舷となります。 また二番とストロークを合わせて、ストロークが漕ぐ側という意味でストロークサイドと言います。 こういったポジションの組み合わせをうまく使って、ボートの操船を行うわけです。 ちなみにスカルでも、慣習にしたがって、右舷をバウサイド、左舷をストロークサイドと言います。 しかし、右舷が左手、左舷が右手になるので、左とか右だけではどっちがどっちか混乱しやすいので注意しましょう。
●次に、ボートの動きと漕ぐ動作に関する用語の説明です。
ロウイングは、不安定な水面に浮かんでいること、オールを使って断続的に推進力を与えること、ソウシュが前後に体重移動させること、などのために揺れます。 揺れの要素は、回転運動と平行運動を、三次元の中で考えるので、合計むっつの成分に分けることができます。ここではそのうち、ふたつだけ紹介します。 ボートの縦ゆれ、バウが浮かぶときにスターンが下がるといった揺れのことを、ピッチングと言います。 ボートの横揺れ、左右に傾く揺れのことを、ローリングと言います。 いずれにしても、こういった揺れは、無駄にエネルギーを逃がしていることになるので、できるだけ揺れが少ない状態が、効率的な漕ぎができているということになります。 さて、ソウシュの体は、大きく、レグ、ボディ、アームで構成されます。 レグとは足、キャクのことです。 レグを伸ばす動作をレグドライブと言いますが、これがロウイングのメインパワーとなります。 ボディ、つまりタイカンを後ろに傾ける動作はボディスウィングと言います。 これも大きなパワーを持っていますね。 腕はアーム,腕を曲げる動作、ハンドルを引く動きがアームプルです。 肩周りの筋肉の連動も重要ですが、パワーとしては、レグやボディほど大きなものではありません。 しかし直接オールのハンドルを持つので、繊細な動きが要求されます。 なお、スイープロウイングでは、オールロックに近いほうの手をインサイドハンド、遠いほうの手をアウトサイドハンドと言います。 さて、一連の身体動作をボディワーク、それに連動するブレードの動きをブレードワークと言います。 その技術的なよしあし、方法論をロウイングテクニックとかソウホウと言います。 反復される一連の動作を、ロウイングサイクルと言いますが、時間的に分解してみて行きましょう。 ブレードワークで説明すると、ブレードが水に入る瞬間をキャッチ、水中を引く間をストロークとかドライブと言います。 水から出す瞬間をフィニッシュとかリリース、空中をキャッチに向かって動く間をフォワードとかリカバリー言います。 フォワードの間、艇が滑って進んで行く状態を、ランとも言います。 少し細かく見て行きましょう。 キャッチは、水に触れた瞬間をタッチ、ブレードが水中に入っていく間をエントリー、すべて水没した瞬間をカバードと言います。 ドライブは、ビギニング、ミドルドライブ、ファイナルドライブと分けて表現されることもあります。 リリースするときには、それまで鉛直だったブレード面を、空中での空気抵抗軽減のために水平にする動作を加えますが、これをフェザーとかフェザーターンと言います。 キャッチ前に再びブレードを立てる動作をスクウェアとかスクウェアターンと言います。  ボディワークを少し細かく見ておきましょう。 アシを曲げてシートを一番前に出した状態をトップスライド、ボディを精一杯ゼンケイさせた状態をフォワードリーチと言います。 これがキャッチの姿勢になるわけですね。 そこから、レグドライブ、ボディスウィング、アームプルを大体この順に連動させながらドライブするわけです。 それからグリップを下げてフィニッシュします。 その手を体から離す動作を、ハンズ・アウェイ、ハンザウェイと言います。 それに吊られるように体をコウケイ姿勢から前に戻しますが、これをボディ・リカバリーと言います。 そのゼンケイに吊られてハンドルが膝の上を通過する頃に膝を緩めてシートの前進を開始しますが、これをフリーニーズと言います。 そしてフォワードしていきキャッチをする、といった動作の繰り返しです。
●次に、クルーボートでの色々な動作を指示する用語をみて行きましょう。
ここまでに説明した艇の各部の名称や動作用語を組み立てながら指示するわけですが、ロウイングでは、「何何をしよう。さあ行こう。」と二段階で指示を出して行きます。 停止した状態から漕ぎ始めるときは、「ノーワーク行こう。さあ行こう。」と指示します。 漕ぎやめるときは、「イージーオール」で漕ぐ動作をやめて、「イージー」でブレードを水面に落として休みます。 また、「動作を止めて」という意味で、「ありがとう」も頻繁に使われます。 艇にブレーキをかけて止めるときは「ストップロー」と言って、ブレードをスクウェアのまま水中に置きます。  ボートをバックさせるときは「バックロウ」の指示で、逆向きに漕ぎます。 他に、波の中でバランスをとるための「バランスケア」といった指示や、ブレードが浮遊物に当たるのを注意する「ブレードケア」といった指示もあります。
●次に、動作の中でも「良くない状態」についての用語です。
「尻逃げ」とは、ドライブ中に、肩よりシートの移動が速い不良状態のことです。 「水中フェザー」とは、フィニッシュのときに,ブレードがまだ水中にある間にフェザーして抵抗になった状態のことです。 「スプラッシュ」とは、水の跳ね上がりのこと、特にキャッチとフィニッシュでのシブキのことです。 大きすぎるのは荒い動きであったり、水との関係がよくない状態です。 「フライアップ」とは、フォワードの終わりに、ブレードが空中に高く上がってしまう状態のことです。 「腹切り」とは、水にブレードを押されて抜けなくなり、ハンドルで腹を強く押される状態のことです。
●次に、動作の中でも良くない状態についての用語です。
尻逃げ とは、 ドライブ中、肩よりシートの移動が速い不良状態のことです。  水中フェザー とは、 ブレードが水から離れる前にフェザーを開始することです。  スプラッシュ とは、 水の跳ね上がり。 特にキャッチとフィニッシュでのシブキのことです。  スクウェアターン とは、 ブレードを垂直に立てることです。 腹切り とは、 水にブレードを押され、ハンドルで腹を強く押される状態のことです。  フライアップ とは、 フォワード終末で、ブレードが空中に高く上がる不良状態のことです。
●次に、ドリルとトレーニングの説明です。
ドリルとは、一般に技術的な練習を指し、トレーニングとは狭い意味では身体運動の発揮エネルギーを増し持続させるための練習のことです。 ボートでの練習、広い意味でのトレーニングは、水上で行う乗艇トレーニングと、陸上で行う陸上トレーニングで構成されます。 水上でのボートの速度,艇速の状態は、陸上での徒歩、ジョギング、ランニング、ダッシュに対応するように、ノーワーク、ライトパドル、パドルとかコンスタント、そしてスパートといった段階があります。 定義や区分はクラブによっても違うので、ここでは詳しくは述べません。 一分間に何回漕ぐかを、ストロークレイトとか単にレイトと言います。 ピッチと言われることもあります。 ディーピーエスとは、ディスタンス・パー・ストローク。 つまりロウイングの1サイクルで進む距離のことです。 レイトとディーピーエスの積が、艇速になります。  全力で漕いで漕ぎ果てることを「ロウアウト」と言います。
●次に、レースの説明です。
ボート,カヌー,ヨットなどの水上スポーツのレースは、レガッタとも呼ばれます。 一般的なボートコースは、それぞれのボートが漕ぐレーンに分かれていて、スタートからフィニッシュまでを競漕します。 まずボートコースは、平行に設定されたレーンがあり、レーン番号があります。 決められたレーンに入り、ハッテイ線と呼ばれるスタートラインに、バウボールをそろえます。 そこでは、ステイクボートと呼ばれる係留されたボートに乗った「ウォーターマン」という係が、スターンを持って前後を調整します。 そして、「ロールコール」と言って、クルーを順番に呼びます。 それから「用意」という意味の「アテンション」の後、「ゴー!」のコールとともにスタートします。 天候が荒れているときなどは、「クイックスタート」と言って、ロールコールが省略されることがあります。  レース中の艇の位置を艇差と言いますが、艇の全長を単位として表現します。前を進む艇のスターンに、追いかける艇のバウがある状態を、一艇身と言います。  自分の漕ぐべきレーンを外れて隣のレーンの艇の進行を妨げると、「レーン侵害」となり、「除外」とか「失格」になることがあります。 除外では、そのレースの最下位扱いで、タイムは記録されません。  舵手の体重には最小重量の規定があり、それより軽いと、デッドウェイトという錘を載せて漕がなければなりません。
●次に、障害者のロウイングについての用語を説明します。
障害者のボート競技は、アダプティブロウイングと呼ばれていましたが、二千十三年からパラロウイングという名前に代わりました。 パラロウイングの競技種目は、エーエス1カケ、ティーエー2カケ、エルティーエー4プラスなどがあります。 ここで、エルはレッグで脚、ティーはトランクでタイカン、エスは肩回りの筋肉、エーはアームで腕を意味します。 つまり、エーエス1カケは,タイカンや下肢に障害があるため腕と肩回りだけを使って漕ぐシングルスカルです。 このタイプには、ポンツーンと呼ばれる浮きをつけて転覆を防止し、また体を支えるための背もたれがつきます。 ティーエー2カケは、脚を固定し、タイカンと腕を使って漕ぐダブルスカルで、男女混成で漕ぎます。 エルhチーエー4プラスは、脚や腕に障害があっても全身で漕ぐ、つきフォアの種目で、視覚障害の場合はこのエルティーエー4プラスに乗ります。
以上が、漕艇用語の基礎レベルです。もし、よく聴く言葉でわかりにくいものがあれば、お知らせください。