前傾(ぜんけい) /漕手の状態の艇尾方向への前傾

EncycROWpedia OZAWA ROWING [20231208]
ロウイングで「前傾」(ぜんけい)というと,二つの意味がある. ひとつは,ブレードやピンの傾きに関することで,艇尾方向への傾きのこと,そしてもうひとつは,ロウイング動作の中で漕手の上体の艇尾方向への傾きのことである. ここでは,後者について説明する.
ロウイング動作は,脚の屈伸運動,上体の前背屈運動,腕の屈伸運動の合成である. このうち,上体は,キャッチから漕ぎ始める時にはスターン方向に傾けておき,漕いでいる間に,上体を「スウィング」させて,フィニッシュでは後傾姿勢になるようにする. 上体の前傾とは,フィニッシュでの後傾姿勢から,フォワードしてキャッチ前に前傾姿勢に戻すまでの上体の運動や,ドライブ開始後にも,上体を前傾させた動作を維持することの意味で使われる.
前傾姿勢を,ドライブ中にどのようなタイミングで,どのような速さ(強さ)で,スウィングさせていくかは,ロウイングテクニックを考えるうえで重要である.一般に,初心者におけるちぐはぐなコンビネーションを矯正するために,脚-上体-腕を強調することは多い.しかし,極端な切り替えは,腰痛の原因になる.
キャッチでの前傾角度をどの程度とるかも重要である.極端に前傾させるのは艇速変動やピッチングの過大化の点で好ましくない.平均的に手足の長い欧州系民族では特に,上体を大きく前傾させる必要が薄い.対極的に(相対的に),上体が長く手足が短い日本人の平均的体系でも,上体を必要以上に前傾させる必要はない. いずれにしても,上体の前傾の話をするときは,それがどこの前傾を言っている話か,注意深く話し聴かなければならない. [作成20231208]
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