前傾(ぜんけい) /ブレードまたはピンの前傾

EncycROWpedia OZAWA ROWING [2018-10-31]
ロウイングで「前傾」(ぜんけい)というと,二つの意味がある. ひとつは,ブレードやピンの傾きに関することで,艇尾方向への傾きのこと,そしてもうひとつは,ロウイング動作の中で漕手の上体の艇尾方向への傾きのことである. ここでは,前者について説明する.
オールを支えるオールロックのフェイス(ドライブ中に,オールのスリーブが強く押し付けられる面)は,通常,鉛直ではなく「前傾」している. つまりフェイスの上端が艇尾(スターン)方向にかぶさるように傾いている.これは,流体力学的に,垂直ではブレードは切り込んだり不安定になるために,少し前傾させておく必要がある.平均的に,その角度は,4~6°程度である. ここで,オールロックの前傾は,「主に」オールロックのピン(回転軸)に対するオールロック・フェイスのあらかじめ設定された「オールロック固有のピッチ」により,それは通常,オールロックのブッシュを交換することで調整できる. そしてまた,オールロックのピン自体を傾けることでも調整でき,そこで,ピンの前傾も,「前傾」(=前傾角,スターンピッチ)の,重要な要素である.ただしここで,注意したいのは,ブレードピッチの最適な変動カーブの形成のためには,ピンの方は,前傾ではなくわずかな後傾もあり得る,ということだ.
オールにも,スリーブ面とブレード面の間にわずかな「ピッチ,前傾」をつけることもある.これは,スリーブピッチとかブレードピッチと呼ばれる.(ブレードピッチは,最終的なブレードのピッチと言う意味も込められる.)
いずれにしても,オールロック~ブレード周りのピッチの話をするときは,それがどこのピッチを言っている話か,注意深く話し聴かなければならない. [作成20231208]
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