たんてい(端艇/短艇)

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J: 帆船時代の木造軍艦には,停泊中の本船と港の運搬往来のために,大小様々の手漕ぎボートが積んであった.一番大きなボートは物資の運搬に用いられ「ロングボート(長艇)」と呼ばれ,後には「ランチ」と呼ばれた.これよりも「短く小型のボート」が「カッター(短艇)」と呼ばれ,主に人員の輸送,連絡に使われた.旧日本海軍では,「あらゆる小艇の総称」として「短艇」という言葉をつかった.これに対して商船の場合は(海軍と区別するために)同様の小艇を「端艇」と書いた.
船舶救命設備規則では,「船舶に備えられるボートで救命艇としての用件に欠けるもの」はすべて「端艇」と呼んだこともあった.日本では小さな雑用船のことを「端舟(はしぶね)」,「艀(はしけ)」ともいい,ボートのことを端艇と書くようになったのはおそらくこのためらしい.
以上のことから,カッターについては短艇の字をあてるのが適切で,また競漕艇については端艇と書くことが多いようである.(参考:海の昔話/日本海事広報協会)
(2007-2-22作成, 2020-10-6改訂)
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