漕法(そうほう) Rowing Technique, Rowing Style

EncycROWpedia OZAWA ROWING
定義: 広義にはボートを漕ぐ方法.ローイングテクニック,漕艇技術.狭義にはローイングスタイルとかモーションパターンといった意味に捉える向きもある.一般に後者ととらえる傾向が強い.「月間漕艇」のバックナンバーなどを探せば,英国伝統漕法,フェアバーン漕法,アダム漕法,ローゼンバーグ漕法,東独漕法(以上はほとんど○○スタイルと言い換えることも多い)と言われたり,国内でも調和漕法,筑波漕法,大回転漕法などの言葉が見つかるだろう.往々にして,強いチームのローイングテクニックを形容するためや,あるいは技術的なブレークスルーが起きたときにその技術体系を呼ぶために,そのチームやコーチの名を冠して○○漕法(スタイル)と呼ばれはじめる傾向がある.
扱われ方: 「漕法」という言い方が,動きのパターン(主にはボディワーク,中でもボディスウィング)をかなり限定的に定義する傾向があることや,個々のチーム毎に技術的な体系が異なる傾向を生じやすいために,あるいは言葉自体がやや古臭い印象を持っているためか,漕法という言い方を敬遠する向きもある.特に最近は,あまり「漕法」という言い方にこだわらない傾向があり,それはそれで良い方向だと感じられる.おそらく一つには,バイオメカニカルな運動解析と,技術の相互交流が進んだおかげで,技術体系やモーションパターンが共通化される傾向にあることがその理由だろう.
ただし一方で,過去にローイングテクニックがどのように進化してきたかを,漕法という分類記号を用いて知っておくことは,決して無駄ではないと思う.若い選手が,自分のクルーなり自分のローイングテクニックを試案し工夫する過程のある部分は,すでに過去の漕法の議論の中で結論が得られていることかもしれない.先駆がたどった足取りを,そうとは知らずに開拓者のつもりで歩くのも決して無駄でなくそこから新しいものが生まれることもあるが,もうひとつのやり方は,過去の先駆の足取りを学び,その上で「さらにその先」を開拓してみることだ.
(2007.2.22)
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